2010年 07月 15日
手打ち蕎麦屋の特性 その2 〜 続・生産性の低さ〜 |
次に「多い総労働時間」についてまとめてみます。
コンサルタント時代、クライアントの企業の方から「お宅の社員は皆働くね〜いつ休んでるの」なんてよく言われました。会社が上場という目標に向けて急成長していた時期であったいうこともあるのですが、コアタイム(朝礼や会議など)を除けば働き方は全て社員の自由裁量に任せるといったフレックスタイム制と、一年間に稼いだ付加価値総額のおおよそ3分の1が翌年の年俸になるといった年俸制度が、社員の一人一人をモーレツな働き方に仕向けていたところがありました。その時の社員の平均労働時間は月間300時間から350時間だったと記憶しています。皆が休みもろくにとらずに働いていて「忙しい〜」が口癖でしたし、自分も同世代のサラリーマンと比べて無茶苦茶働いているな〜という実感を持ってました。しかしこの業界に入ってすぐに、その働き方がまだ楽だったなーという認識に変わりました。
いま自分も家内もそれぞれの平均月間労働時間は350時間から400時間程でしょうか。拙店の場合、自家製粉の手打ち蕎麦ときちんとした仕込みが必要な料理を多く取り揃えていますので手打ち蕎麦屋のなかでもかなり労働時間が多いほうだとは思うのですが、時間そのものよりもその中身が恐ろしいまでに濃いのです。
コンサルタント時代の労働時間には付加価値を直接稼ぐ時間(営業やコンサルティング業務、その準備時間など)だけではなく、会議やクライアント先への移動、はたまた日報などの記入業務まで含まれているのですが、この仕事の場合は350時間から400時間という時間全てが立ち仕事かつ手を休めていることがほとんどないといった状態なのです。
自分自身の平日の標準的な一日の過ごし方ですが、
7:00 起床
7:30〜10:00 蕎麦打ち
一日の来店客数を想定して蕎麦打ち業務は10時までに終了するようにす る為、週末や繁忙日は起床が前倒しとなります
10:00〜11:30 料理仕込その一
11:30〜15:00 昼の営業
開店前に魚屋さんが配達にくるので、魚系の料理の仕込みは業と並行して 進めます
15:00〜17:00 料理仕込その二&休憩
あまり忙しくなければ15時半くらいから休憩がとれるのですが、週末や 繁忙日は30分程度の休憩しかとれません
17:00〜17:30 営業準備
17:30〜21:00 夜の営業
営業と並行して手があけば翌日の仕込み準備をすすめます
21:00〜22:00 後片付け、翌日仕込み準備
繁忙日や週末は23:00頃まで続きます
22:00〜25:00 この時間は労働時間には入れてはいませんが
経理業務(家内担当)
仕入・発注業務
HPやメニュー、ブログの更新
新規メニューのアイディア考案 などなど
なんやかんやと仕事をしていることが多いです
25:00 就寝
とこんなかんじでして、定休日以外には家の外に全く出ないといった週がほとんどといった生活です。
ゆっくりとした時間が欲しいなとは勿論思うのですが、根が貧乏性なのか働くことは嫌いじゃないんです。コンサルタント時代に週休二日のような働き方をしていたらとても続けられなかったとも思います。ただこの働き方をあと何年続けられるか不安ではあるのですが・・・。
趣味ではなく仕事としての量の蕎麦を打つことはかなりの重労働で、腰や肘・手首などを痛めるかたもかなりの数にのぼりますし、そのうえでの営業、他の仕込み等々、手打ち蕎麦屋の経営者(おやじ)は、長時間重労働といった形の働き方をしているかたが多いと思います。
こんな投下労働量の割には収益性が乏しいといった生産性の低い飲食業種の一つが手打ち蕎麦屋であり、基本「蕎麦や蕎麦を打つことが好き」ということがないと続かない商売なのだとは思いますが、近年の手打ち蕎麦屋を巡る経営環境では、好きだけでも続けられないことも現実です。
書籍などに掲載されている手打ち蕎麦屋開業の売上計画モデルは客単価が1000円〜1200円ぐらい、客数の一日平均が40名程度で設定されていることが多い(この数字を達成できても年商は1500万円以下であって、これでは生活していくのがやっとという状態なのにどこがモデルなのかわかりませんが・・・)のですが、客数がこの数字をクリアできずに廃業に追い込まれる例がかなり見られるようになりました。
今後はこのような中途半端な価格帯の手打ち蕎麦屋は、趣味として継続していけるかたは別として、商売として考えていくと消滅していく可能性を大きく孕んでいるのではないかと思います。
コンサルタント時代、クライアントの企業の方から「お宅の社員は皆働くね〜いつ休んでるの」なんてよく言われました。会社が上場という目標に向けて急成長していた時期であったいうこともあるのですが、コアタイム(朝礼や会議など)を除けば働き方は全て社員の自由裁量に任せるといったフレックスタイム制と、一年間に稼いだ付加価値総額のおおよそ3分の1が翌年の年俸になるといった年俸制度が、社員の一人一人をモーレツな働き方に仕向けていたところがありました。その時の社員の平均労働時間は月間300時間から350時間だったと記憶しています。皆が休みもろくにとらずに働いていて「忙しい〜」が口癖でしたし、自分も同世代のサラリーマンと比べて無茶苦茶働いているな〜という実感を持ってました。しかしこの業界に入ってすぐに、その働き方がまだ楽だったなーという認識に変わりました。
いま自分も家内もそれぞれの平均月間労働時間は350時間から400時間程でしょうか。拙店の場合、自家製粉の手打ち蕎麦ときちんとした仕込みが必要な料理を多く取り揃えていますので手打ち蕎麦屋のなかでもかなり労働時間が多いほうだとは思うのですが、時間そのものよりもその中身が恐ろしいまでに濃いのです。
コンサルタント時代の労働時間には付加価値を直接稼ぐ時間(営業やコンサルティング業務、その準備時間など)だけではなく、会議やクライアント先への移動、はたまた日報などの記入業務まで含まれているのですが、この仕事の場合は350時間から400時間という時間全てが立ち仕事かつ手を休めていることがほとんどないといった状態なのです。
自分自身の平日の標準的な一日の過ごし方ですが、
7:00 起床
7:30〜10:00 蕎麦打ち
一日の来店客数を想定して蕎麦打ち業務は10時までに終了するようにす る為、週末や繁忙日は起床が前倒しとなります
10:00〜11:30 料理仕込その一
11:30〜15:00 昼の営業
開店前に魚屋さんが配達にくるので、魚系の料理の仕込みは業と並行して 進めます
15:00〜17:00 料理仕込その二&休憩
あまり忙しくなければ15時半くらいから休憩がとれるのですが、週末や 繁忙日は30分程度の休憩しかとれません
17:00〜17:30 営業準備
17:30〜21:00 夜の営業
営業と並行して手があけば翌日の仕込み準備をすすめます
21:00〜22:00 後片付け、翌日仕込み準備
繁忙日や週末は23:00頃まで続きます
22:00〜25:00 この時間は労働時間には入れてはいませんが
経理業務(家内担当)
仕入・発注業務
HPやメニュー、ブログの更新
新規メニューのアイディア考案 などなど
なんやかんやと仕事をしていることが多いです
25:00 就寝
とこんなかんじでして、定休日以外には家の外に全く出ないといった週がほとんどといった生活です。
ゆっくりとした時間が欲しいなとは勿論思うのですが、根が貧乏性なのか働くことは嫌いじゃないんです。コンサルタント時代に週休二日のような働き方をしていたらとても続けられなかったとも思います。ただこの働き方をあと何年続けられるか不安ではあるのですが・・・。
趣味ではなく仕事としての量の蕎麦を打つことはかなりの重労働で、腰や肘・手首などを痛めるかたもかなりの数にのぼりますし、そのうえでの営業、他の仕込み等々、手打ち蕎麦屋の経営者(おやじ)は、長時間重労働といった形の働き方をしているかたが多いと思います。
こんな投下労働量の割には収益性が乏しいといった生産性の低い飲食業種の一つが手打ち蕎麦屋であり、基本「蕎麦や蕎麦を打つことが好き」ということがないと続かない商売なのだとは思いますが、近年の手打ち蕎麦屋を巡る経営環境では、好きだけでも続けられないことも現実です。
書籍などに掲載されている手打ち蕎麦屋開業の売上計画モデルは客単価が1000円〜1200円ぐらい、客数の一日平均が40名程度で設定されていることが多い(この数字を達成できても年商は1500万円以下であって、これでは生活していくのがやっとという状態なのにどこがモデルなのかわかりませんが・・・)のですが、客数がこの数字をクリアできずに廃業に追い込まれる例がかなり見られるようになりました。
今後はこのような中途半端な価格帯の手打ち蕎麦屋は、趣味として継続していけるかたは別として、商売として考えていくと消滅していく可能性を大きく孕んでいるのではないかと思います。
by sobayanicolas
| 2010-07-15 23:58
| 蕎麦屋経営の話