2010年 06月 23日
手打ち蕎麦屋の特性 その2 〜生産性の低さ〜 |
飲食業の中における蕎麦屋の特性として、前回「顧客の多様性」について述べましたが、もう一つ大きな特性として考えられることは「生産性の低さ」ということがあります。
労働生産性をはかる代表的な指標は「人時売上高」と「人時生産性」の2つあり、前者が従業員一人が一時間あたりどのくらい売上を上げているか、後者が同様に粗利をどれだけあげているかということを表しています。
計算式は、
人時売上高=売上高/総労働時間(パート・アルバイトも含む)
人時生産性=人時売上高×売上総利益率
ということになっており、飲食業が目指すべき人時生産性の水準が5000円といわれていますが、恐らく蕎麦屋の平均的水準は1500円〜2000円程度ではないでしょうか。労働分配率を35%とした場合、人時生産性が2000円であれば、社員・パート・アルバイトの平均時給は700円ということであり、1500円であれば平均時給は525円、手打ち蕎麦屋のおやじ(経営者)の平均時給はパート・アルバイト以下という笑えない話になっているのが現状なのです。
「低い売上高」「多い総労働時間」「粉もの商売の中では低い売上総利益率」という要因が重なっていることが原因なのですが、今回はまず「低い売上高」についてまとめてみたいと思います。
コンサルタント時代には経営相談(この仕事が営業にもなっているのです)という業務で、大小問わずいろいろな企業にお伺いさせていただきました。当然その中には飲食業を営んでいらっしゃる企業(個人)もあったわけですが、その業務の際に頭の中に持っている簡易基準値の一つに「最低坪月商10万円」というものがありました。つまり20坪の店舗面積(ホール・厨房・バックヤードなど全て)の店であれば月商200万円をクリアしていれば経営的にいって必要最低限の売上は満たしているいっていいという基準でした。標準店で「坪月商15万」繁盛店で「坪月商20万」といったところでした。20坪の店舗面積の店というのは普通のレイアウトであれば26席、レストラン等のゆったりめのレイアウトであれば20席、居酒屋などのつめたレイアウトであれば30席ほどの客席の店ということになります。
「最低坪月商10万円」をクリアしていないということは、チェーン店であればスクラップビルドの対象と考えることになりますし、個人店であれば日常の生活はなんとかなるにしても投資や設備更新が困難な状況ということになり、なんらかの対策が必要という判断となりました。
1時間程度の経営相談ですからこんな簡易な指標をベースにしていましたが、レストランからラーメン店などに至るおおかたの飲食業の業種でこの基準はあてはまりました。
がしかし・・・。手打ち蕎麦屋という業種の場合、その多くは夫婦二人+パート・アルバイトというスタイルで営業しています。夫婦2人が社員ということになりますので、「10席あたり社員数1人」が目安ですから、客席数は20席、比較的ゆったりめのレイアウトを採用しているところが多いので、店舗面積は20坪といったところが一般的でしょうか。「最低坪月商10万円」という基準を当てはめますと、月商200万円ということになるのですが「手打ち蕎麦屋」という業種に足を踏み入れてから14年、この基準を満たしていれば「繁盛店」と呼ばれ、多くの店舗においてはその半分程度という実態を感じています。
売上=客単価×客数ですから、通常は客単価が高い業種は客数が少なく、客単価が低い業種は客数が多いということになるのですが、手打ち蕎麦屋は両方低いということがその要因であることは間違いありません。1990年代までは機能していた蕎麦屋開業における通常の経営計画のモデルプランが現在の経営環境では破綻してしまっているのではないでしょうか。
生業と考えるならばともかく商売として考えると厳しい時代になってきていて、そのあり方を見直さざるを得ない状況なのではないかと思うのです。
労働生産性をはかる代表的な指標は「人時売上高」と「人時生産性」の2つあり、前者が従業員一人が一時間あたりどのくらい売上を上げているか、後者が同様に粗利をどれだけあげているかということを表しています。
計算式は、
人時売上高=売上高/総労働時間(パート・アルバイトも含む)
人時生産性=人時売上高×売上総利益率
ということになっており、飲食業が目指すべき人時生産性の水準が5000円といわれていますが、恐らく蕎麦屋の平均的水準は1500円〜2000円程度ではないでしょうか。労働分配率を35%とした場合、人時生産性が2000円であれば、社員・パート・アルバイトの平均時給は700円ということであり、1500円であれば平均時給は525円、手打ち蕎麦屋のおやじ(経営者)の平均時給はパート・アルバイト以下という笑えない話になっているのが現状なのです。
「低い売上高」「多い総労働時間」「粉もの商売の中では低い売上総利益率」という要因が重なっていることが原因なのですが、今回はまず「低い売上高」についてまとめてみたいと思います。
コンサルタント時代には経営相談(この仕事が営業にもなっているのです)という業務で、大小問わずいろいろな企業にお伺いさせていただきました。当然その中には飲食業を営んでいらっしゃる企業(個人)もあったわけですが、その業務の際に頭の中に持っている簡易基準値の一つに「最低坪月商10万円」というものがありました。つまり20坪の店舗面積(ホール・厨房・バックヤードなど全て)の店であれば月商200万円をクリアしていれば経営的にいって必要最低限の売上は満たしているいっていいという基準でした。標準店で「坪月商15万」繁盛店で「坪月商20万」といったところでした。20坪の店舗面積の店というのは普通のレイアウトであれば26席、レストラン等のゆったりめのレイアウトであれば20席、居酒屋などのつめたレイアウトであれば30席ほどの客席の店ということになります。
「最低坪月商10万円」をクリアしていないということは、チェーン店であればスクラップビルドの対象と考えることになりますし、個人店であれば日常の生活はなんとかなるにしても投資や設備更新が困難な状況ということになり、なんらかの対策が必要という判断となりました。
1時間程度の経営相談ですからこんな簡易な指標をベースにしていましたが、レストランからラーメン店などに至るおおかたの飲食業の業種でこの基準はあてはまりました。
がしかし・・・。手打ち蕎麦屋という業種の場合、その多くは夫婦二人+パート・アルバイトというスタイルで営業しています。夫婦2人が社員ということになりますので、「10席あたり社員数1人」が目安ですから、客席数は20席、比較的ゆったりめのレイアウトを採用しているところが多いので、店舗面積は20坪といったところが一般的でしょうか。「最低坪月商10万円」という基準を当てはめますと、月商200万円ということになるのですが「手打ち蕎麦屋」という業種に足を踏み入れてから14年、この基準を満たしていれば「繁盛店」と呼ばれ、多くの店舗においてはその半分程度という実態を感じています。
売上=客単価×客数ですから、通常は客単価が高い業種は客数が少なく、客単価が低い業種は客数が多いということになるのですが、手打ち蕎麦屋は両方低いということがその要因であることは間違いありません。1990年代までは機能していた蕎麦屋開業における通常の経営計画のモデルプランが現在の経営環境では破綻してしまっているのではないでしょうか。
生業と考えるならばともかく商売として考えると厳しい時代になってきていて、そのあり方を見直さざるを得ない状況なのではないかと思うのです。
by sobayanicolas
| 2010-06-23 22:35
| 蕎麦屋経営の話