2010年 04月 21日
手打ち蕎麦屋の特性 その1 〜顧客の多様性〜 |
飲食店の様々な業種の中で蕎麦屋とはどのような特性を持っているのであろうか。
その一つは「あらゆる意味において顧客の幅が広いこと」ということがあげられる。
通常よく言われるのは「蕎麦は日本人の食の一つとして定着していて、老若男女、幅広い人達に好まれる食べ物であるから、今後進行する高齢化社会においても安定した需要が見込める業種である」ということですが、単なる老若男女という意味だけでありません。
6年前に岐阜の地を離れ、サラリーマン時代を過ごした京都に戻って店を開店したのですが、その際にカルチャーショックを感じたことがありました。
この西陣というところは西陣織など織物産業が集中する地域で、織物の各工程が専門分化して拡がる家内制手工業が集積し、職住一体となった町衆文化を形成する町として発展してきました。そのような場所であったため、昼食や夕食に手早く手軽にすませられるように出前文化といったものが現在でも根強く残っているところだったのです。特に宣伝らしい宣伝はしていなかったので、開店数ヶ月はご近所の方々が大多数でした。そのようなことから出前の依頼の多さと温かい蕎麦への需要の多さということに驚いたわけです。
一つの例ではありますが、この地域では「蕎麦屋の成功要因」で述べた1960年代の蕎麦屋というものが「蕎麦屋」に対する一つのイメージになっていたということなのです。
また開店半年後くらいからいろいろな雑誌に掲載されるようになると、また一つの別なグループともいえるようなお客様が多く来店されるようになりました。お一人でご来店されざる蕎麦を召し上がられる、そういったお客様達でした。このようなお客様は「蕎麦屋の成功要因」で述べた1990年代の蕎麦屋というものが「蕎麦屋」に対する一つのイメージになっていて、蕎麦の食べ歩きを趣味としているような方々だったということなのです。
このように単なる年齢や性別といったものだけではなく「蕎麦屋」という業種に対する認識も人によってそれぞれ違うということもいえると思います。
また嗜好も人それぞれ、蕎麦そのものに対する好みも「ニ八のしっかりした蕎麦」が好きな方もいれば「十割のモチッとした蕎麦」が好きな方もいる、同じ辛汁でも「辛い」と感じる方もいれば「甘い」と感じる方もいる。またそれは、蕎麦屋という業種が持つ顧客エリアの広域性という特徴からくる要因も考えられる・・・。
そのように考えていくと、いろいろな角度から考えて蕎麦屋という業種が他の業種に比べて顧客の幅が広いといえるのではないかと思うのです。
勿論それは、日本の伝統食であることと同時に誰でも気軽に食せるものであるといったことが底辺に流れていることは間違いはないのですが。
顧客の幅が広いということはそれだけ現在の経営環境下では商品戦略がぼけやすく、結果どの層の顧客にも中途半端な雰囲気や品揃えといったことになってしまう危険性をはらんでいるともいえ、長引く不景気感や競合店の増加といった要因とは別に、現在の蕎麦屋という業種を厳しい状況に陥れている一つの理由となっているのではと思います。
拙店では「どのようなライフスタイルを持った方々がどのような動機で来店されるのか」そこを具体的にいくつも考えて自店の顧客群というものを明確にすること、まずそこを大切にしています。そのうえでそのような方々がどのようなものを好むのか、果たしてそれは他の飲食店の業種との差別化が図られるのかといったことを考えて、いつも商品戦略を考えています。ただそれを実現するには拙店ぐらいの規模であれば店主の能力如何。そう考えるとこれまたいつも能力不足、もっと努力をしなくてはとの思いを強くするのです。
その一つは「あらゆる意味において顧客の幅が広いこと」ということがあげられる。
通常よく言われるのは「蕎麦は日本人の食の一つとして定着していて、老若男女、幅広い人達に好まれる食べ物であるから、今後進行する高齢化社会においても安定した需要が見込める業種である」ということですが、単なる老若男女という意味だけでありません。
6年前に岐阜の地を離れ、サラリーマン時代を過ごした京都に戻って店を開店したのですが、その際にカルチャーショックを感じたことがありました。
この西陣というところは西陣織など織物産業が集中する地域で、織物の各工程が専門分化して拡がる家内制手工業が集積し、職住一体となった町衆文化を形成する町として発展してきました。そのような場所であったため、昼食や夕食に手早く手軽にすませられるように出前文化といったものが現在でも根強く残っているところだったのです。特に宣伝らしい宣伝はしていなかったので、開店数ヶ月はご近所の方々が大多数でした。そのようなことから出前の依頼の多さと温かい蕎麦への需要の多さということに驚いたわけです。
一つの例ではありますが、この地域では「蕎麦屋の成功要因」で述べた1960年代の蕎麦屋というものが「蕎麦屋」に対する一つのイメージになっていたということなのです。
また開店半年後くらいからいろいろな雑誌に掲載されるようになると、また一つの別なグループともいえるようなお客様が多く来店されるようになりました。お一人でご来店されざる蕎麦を召し上がられる、そういったお客様達でした。このようなお客様は「蕎麦屋の成功要因」で述べた1990年代の蕎麦屋というものが「蕎麦屋」に対する一つのイメージになっていて、蕎麦の食べ歩きを趣味としているような方々だったということなのです。
このように単なる年齢や性別といったものだけではなく「蕎麦屋」という業種に対する認識も人によってそれぞれ違うということもいえると思います。
また嗜好も人それぞれ、蕎麦そのものに対する好みも「ニ八のしっかりした蕎麦」が好きな方もいれば「十割のモチッとした蕎麦」が好きな方もいる、同じ辛汁でも「辛い」と感じる方もいれば「甘い」と感じる方もいる。またそれは、蕎麦屋という業種が持つ顧客エリアの広域性という特徴からくる要因も考えられる・・・。
そのように考えていくと、いろいろな角度から考えて蕎麦屋という業種が他の業種に比べて顧客の幅が広いといえるのではないかと思うのです。
勿論それは、日本の伝統食であることと同時に誰でも気軽に食せるものであるといったことが底辺に流れていることは間違いはないのですが。
顧客の幅が広いということはそれだけ現在の経営環境下では商品戦略がぼけやすく、結果どの層の顧客にも中途半端な雰囲気や品揃えといったことになってしまう危険性をはらんでいるともいえ、長引く不景気感や競合店の増加といった要因とは別に、現在の蕎麦屋という業種を厳しい状況に陥れている一つの理由となっているのではと思います。
拙店では「どのようなライフスタイルを持った方々がどのような動機で来店されるのか」そこを具体的にいくつも考えて自店の顧客群というものを明確にすること、まずそこを大切にしています。そのうえでそのような方々がどのようなものを好むのか、果たしてそれは他の飲食店の業種との差別化が図られるのかといったことを考えて、いつも商品戦略を考えています。ただそれを実現するには拙店ぐらいの規模であれば店主の能力如何。そう考えるとこれまたいつも能力不足、もっと努力をしなくてはとの思いを強くするのです。
by sobayanicolas
| 2010-04-21 23:07
| 蕎麦屋経営の話